タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

「ブラン、鳥さんは何を言ってるの?」


「オレたちタヌキに協力するのは、真っ平ごめん、だそうだ」


どうして? 同じ山の仲間同士、仲が良いんでしょう?


仲間が困ってるんだから助け合いましょうよ!


「実は、話はそう簡単じゃないんだ」


「どういう意味?」


「オレたち一族と、この鳥一族は、『食うもの』と『食われるもの』の関係なんだよ」


食うものと、食われるもの? ・・・あっ。


あたしは、ふと思い至った。あたしとブランの結婚式に出たごちそう。


たしか鳥の死がいがあった。ここの鳥とは違う鳥だったけど。


でもつまり・・・それって、まさか・・・!


「ここの鳥たちって、今までずっとタヌキ一族のエサになってたの!?」


「まあ、そーゆーことになるな」


「ことになるって、あのねぇ・・・!!」


あたしは呆れて、モノが言えなくなってしまった。


信じらんない! 

今まで散々ここの仲間を食い散らかしておきながら、ケロッと忘れたように頼み事!?


魚の数匹で水に流せって!? おいおいおい~!


「どこまでタヌキ頭なの!? そんなの聞いてもらえるわけがないじゃない!」


「タヌキ頭ってなんだよ! じゃあ他になにか方法があるのか!?」


そりゃ、ないけどさ! だからって、せめてもうちょっと、こう・・・。


深刻さ、みたいなものがあっても良かったんじゃないのぉ!? 深い反省の態度とか。


その、めっぽう明るいタヌキ頭っぷりが、あちら様にしてみれば腹が立ってしかたないんじゃないのぉ?