タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

「どうした!? ケガでもしたのか!? どれ見せてみろ!」


「ケガは全然してないけど、命の危機の恐怖はどっさりありました!」


「ケガはないのか。よかったよかった」


「良くないって! どんだけ肝を冷やしたと思ってんのよ!」


「うん。山の風は冷えるからなぁ」


「そーゆー意味じゃ・・・!」


怒鳴りつけるあたしの耳に、バサバサと騒がしい羽ばたきの音が聞こえた。


ふと周囲を見渡すと、巣穴中の空間を、色とりどりの美しい小鳥たちが飛び回っている。


その圧倒的な数と、目を見張るほどの美しさ。


あたしは怒りも忘れて、声を失ってしまった。


なんてキレイな・・・鳥たちだろう・・・!


青、緑、黒、黄、オレンジ。


洞窟中が、爛漫に咲き誇る花々のような、華やかな彩りに満ちている。


しかもその色彩の深み! 艶! 光沢!


とても生き物のもつ色とは思えない。


どうみてもこれは宝石の輝きだ。生きる宝石。


ほぅ~っとため息をつき、呆けた顔で見惚れているうち、鳥たちも落ち着いてきた。


あちこちに止まって、こちらの様子を伺うように注視している。


「突然に邪魔をして済まない。オレはタヌキ一族の白騎士、ブランだ」


そう話しかけるブランを、鳥たちは首を傾げてじっと見つめている。


「頼みがあるんだ。お前たちの代表と話し合いたいんだが」


するとバサバサと羽ばたきながら、ひときわ色濃く美しい鳥が一羽、目の前に飛んできて止まった。


「ちっ」と小さな声で短く鳴いて、ブランを見ている。


「いやまぁ、そうケンカ腰になるなよ。突然押しかけたことは謝るから」


「ちちっ」


「ああ、それば十分承知している。そのうえで頼みに来たんだ」