タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

そうだよ。よく考えればブランが登れるわけがない。


だってタヌキに崖のぼりの能力なんて、ないもん!


どーすんのよ! せっかくここまで来たのに鳥に会えないなんて!


「情けなくってもう涙も出ない! さっきから汗しか出ないわよ!」


どんだけ頼りにならない夫なのかしら、この白ぽんぽこ!


別に夫じゃないんだけどさ!


「だから大丈夫だってさっきから言ってるだろう?」


言うなりブランは『ボンッ』と音を響かせ変化した。わっ!?


まだブランの変化魔法に慣れていなくて、そのたびに音と煙に驚いてしまう。


薄白い煙の散った後に現れた、その変化の姿は・・・


・・・なんて大きな鳥の姿!!


真っ白な大鳥にブランは変化していた。


デカい! これがブランだと分かっていても、思わず尻込みしてしまうほどにデカい!


あぜんとしている目の前で、大鳥のブランはバサバサッと羽ばたいた。


巻き起こった風を受け、あたしは顔をしかめる。


フワリ、と軽やかにブランはあたしの頭上まで舞い上がった。


「飛ぶぞ、ミアン」


ガシッ!っと鳥の爪が、あたしの二の腕あたりをつかんむ。


そしてそのまま、ぐうぅん!っと一気に空へ向かって急上昇した!!


「きゃああぁぁーーー!?」