大騒動だった結婚式が終わって、今はもう夜。


あたしは白タヌキ少年と一緒に、大きな巣穴の中に入って休んでいた。


白タヌキ少年は騒ぎで疲れたのか、タヌキの姿で丸まって静かに眠っている。


その姿を横目で見ながら、ひざを抱えてポツンと座り込んでいた。


山の夜は、本当に真っ暗。月と星の明かりしかない。


風が揺らす木々の音が、妙に大きく聞こえてきて、怖くて落ち着かなかった。


人の気配がないって、こんなにも心細くて不安なものなのかな。


あたしは・・・今までだってずっと独りぼっちだったのに。


「どうした? 眠らないのか?」


白タヌキが目を覚まして話しかけてきた。


「ハラが空いてるのか? だからあの時ちゃんとネズミを・・・」


「なにがあっても、ぜったい食べませんから」


「じゃあ寒いのか? 山の朝晩はまだまだ冷えるんだ」


そういうと白タヌキは、あたしのヒザの上にもぞもぞともぐり込んできた。


・・・うわぁ、あったかぁい・・・。


思わず両腕で、その体を包むように抱きしめた。皮膚や生地を通して、温もりがじんわりと伝わってくる。


あたしは白い毛皮に、そっと頬ずりした。


うっわああぁぁ・・・・・・。


柔らかくて、滑らかで、温かくて、ふわふわの、ほわほわだぁ。


もう最高。あぁ、すっごく幸せ・・・。


「気持ちいい~。あったかぁい。素敵~」

「そうか、よかった」

「ありがとう。白・・・・・・」

「どうした?」

「なんか、いつまでも白タヌキ白タヌキじゃ、ちょっと呼びづらいよ」