溺れるほどの切ない想い。

ブランの顔がゆっくりと近づいて、そっと唇を寄せてくる。


あたしは目を閉じ、受け止めた。


唇に感じるブランの体温。


吐息が震える。


お互いの熱い感情が、唇を通して伝わり合う。


驚くほどに温かい。そしてこんなにも優しい。


生まれて初めての、愛する者とのキス。


「結婚式で、できなかった誓いのキスだ」


「ブラン・・・・・・」


「これでお前は本当にオレの嫁だ。誰にも文句は言わせない。たとえ、ミアン自身にも」


「バカね・・・」


文句なんて言うはずもない。

あたしはブランのお嫁さん。

そしてタヌキ一族の仲間。


それがあたしの中の真実。


「戻って来てね」

「ああ。必ず戻ってくる」

「愛してる。ブラン」

「愛してる。ミアン」


こんなに、こんなに愛しているから・・・大丈夫。


愛は、世界を救うから・・・・・・。