タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

ブランが両手であたしの頬を包み込む。


涙でグチャグチャのあたしの顔を覗き込んだ。


「オレは自分が白騎士であることを、今ほど嬉しく思った事は無い」


優しく、穏やかなブランの顔が、涙で曇ってよく見えない。


「やっと分かった。オレはミアンを救うために、白騎士としてこの世に生まれてきたんだって」


美しいブランの微笑み。

この世の何よりも愛しく気高い存在。


それが、目の前から消え去ろうとしている。


「だからオレとミアンは巡り合って結ばれたんだ。オレは幸せだよ」


「・・・・・・・・・・・・」


「ミアンを愛しているから、とても幸せだ」


こんなにも苦しい・・・愛の言葉。


愛は、世界を救う力がある。それは真実。

でも、ねぇブラン。


・・・・・・あたしは?


身を切られるような深い愛の言葉だけを胸に、世界を生きていかなければならないの?


あなたが守ったこの世界の中で・・・


これからも、たったひとりで。


それが、あたし達の迎える結末だというの?


あたしはそれを受け入れなければならないの・・・!?


「そんな事はならないよ! そのためにオレたちタヌキ一族は、ミアンと巡り合ったんだ!」


・・・・・・・・・・・・!


突然、背後から声が聞こえた。


あたしもブランも驚いて振り返る。そして目を見開いた。


「・・・みんな!?」


そこには、おタヌキ山のタヌキ一族たちがいた。