タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

オルマさんの最期の姿が目に浮かぶ。


真実を見失い、道を誤り、悔恨の中で逝った人。


・・・そうだ。


あたしは、全身全霊で彼女に訴えたはずだ。


愛は、世界を破滅に導くものではないのだと。


『愛は、世界を救うものなんだ』と・・・・・・。


「う・・・・・・」


腕から、力が抜けた。

そして足からも力が抜ける。


あたしはブランの体にしがみ付きながら、ズルズルと崩れ落ちた。


「うあぁぁーーーーーーーー!!」


ノドが裂けるほど絶叫した。


頬を突き刺すような熱い涙が、ボダボダとこぼれた。


恥も外聞もなく泣いた。喚いた。


大口を開け、ギャアギャア狂ったように泣き叫んだ。


叫びすぎたノドから、血のような生臭い臭いが漏れてくる。


苦しい! 痛い!

心の中に灼熱の剣を突き立てられ、掻き回されるようだ!


これは真実を受け入れる苦しみ。


分かっている。

あたしはおタヌキ王からそれを、彼の命と引き換えに教えられたのだから。


でも・・・でも・・・!


「それでも・・・嫌だぁぁぁ!!」

「ミアン、聞いてくれ」

「う、あ・・・あぁぁ!」

「オレは世界を守りたい。なぜなら、ミアンがオレの世界の全てだから」