タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

あたしは駆け寄り、ブランに思い切り抱き付いた。

ブラン! ブラン! ブラン!


ブランもあたしを力強く抱きしめてくれる。


言葉は無かった。


ただ、抱きしめ合うお互いの腕の力が、言葉の代わりだった。


ワッと歓声が上がり、みんながあたしとブランの元へと駆け寄って来る。


そしてあたし達を取り囲み、みんなが共に喜びを分かち合う。


飛び跳ねるノーム達。


生き残った人間達も、誰かれ構わず抱き合い、大喜び。


スエルツ王子がワンワン大泣きしている。


「だ・・・男爵・・・男爵夫人・・・」


「スエルツ王子、あたしの名前はミアン、よ」


「オレはブランだ」


「ミアン・・・ブラン・・・」


ブランはスエルツ王子と向かい合う。


「よく頑張ったな、スエルツ。苦しかったろう?」


「・・・・・・・・・・・・」


「お前はオレの知ってる偉大な王と、肩を並べるほどの王となるだろう」


「う・・・えぇぇーー・・・」


王子はブランの肩に腕を回して抱き付き、またひとしきり大泣きした。


うん・・・。王子、本当に頑張ったね。


どれほど苦しかったろう。でも、あなたは決して負けなかった。


やっぱりあなたは、偉大な王となる人だよ。


アザレア姫も涙を流しながら、そんな王子を見守っている。


このふたりは、これからカメリアの未来を創っていくんだ。


今度こそ、みんなが幸せになる未来を。