タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

その赤い球体だけが地竜の名残りを留めていた。


真っ赤な片目が、ひときわギラリと燃え上がる。


「まずい! みんな伏せろーー!」


ブランが叫び、あたしの体に覆いかぶさって地面にガバッと突っ伏した。


スエルツ王子も姫を抱きかかえて地面に臥せる。


あたし達の頭上ギリギリを、黒い霧が突風のように吹き荒んだ。


――ガラガラガラ・・・!


黒い霧に触れたガレキが、突然風化したようにボロボロと音を立てて崩れ落ちる。


霧に触れた全ての物が、パラパラと脆い砂に化してしまった。


「あれ、なに!? なんで!?」


「地竜の発する毒気だ! あれに触れたら一巻の終わりだぞ!」


地竜の真っ赤な目が燃え上がるたび、黒い毒霧が吹き荒ぶ。


四方八方、手あたり次第にガレキが崩れ去った。


あたしは恐怖に震えながら、ただ地面に突っ伏すばかり。


こ、これじゃどうにもできないよ!


頭を数センチ動かしただけでも、あの霧にやられる!

どうすりゃいいの!?


「鎧の効果で、なんとか今まであの毒を防いでいたが・・・」


もうブランの鎧は使い物にならない状態だ。


今度あの霧に当たったら、たぶん、もう・・・・・・。


「だが、ここでいつまでも寝そべってるわけにもいかないな」

「ブラン!?」


身を起こそうとするブランを、あたしは慌てて押しとどめた。


ちょっと、なにするつもりなの!?