タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

「オルマ! 死なないで! お願い死なないで!」


姫はオルマさんの手を握り、わぁわぁ泣き叫んでいる。


オルマさんは涙の止まらない目で、それを見つめていた。


自分が騙した相手。自分が裏切った相手。


愛していたのに。

とっさに我を忘れ、わが身を犠牲にしてまで守るほどに。


こんなに・・・愛していたのに。


・・・姫をこの手で復讐の犠牲にしてしまったなんて。


その姫に手を握られ、『頼むから死ぬな』と願われ、涙を流されて。


なのに・・・許しを請うことすら、できない。


あたしの目からも涙が流れ落ちた。


オルマさんはいま、わが身を呪っている。


憎しみに負けて己を見失い、自分の中の真実を捨ててしまった。


姫への愛よりも、王への復讐を選んでしまった自分を、死の間際に呪っているんだ。


胸を掻き毟られるほどの、文字通り、血を吐くほどの悔恨。


・・・どうして、止めてあげられなかったんだろう。


オルマさんの中には、確かに真実があったのに。


それが汚染されていくのを、あたしは目の前でむざむざ許してしまった。


オルマさんの胸がゆっくり大きく上下する。


ノドから漏れる息の音も、間遠になり。


ひたすら姫の姿を見続ける目から、少しずつ光が失せていく。


命の灯火が・・・消えていく・・・。

そして・・・・・・


最期に、最愛の者への愛の言葉も、許しを請う言葉も、何ひとつ伝えることの叶わないまま・・・


彼女の命は・・・・・・ここに、尽きた。