『あの方は国に利用され、親に利用され。

そして裏切られ、失意の底に落ちては、再び夢を見て這い上がる。

彼女は強い人だから。強くなければ・・・・・・

とても生きては・・・・・・こられなかったから・・・』


オルマさんは、自分とアザレア姫を重ねていたんじゃないだろうか。


ひょっとしたら、亡くしたお腹の子の代わりのように思っていたのかもしれない。


一緒に過ごすうちに、ただ利用するだけのつもりが、本当に愛情をもってしまったんだ。


「その気持ち、あたしは分かるよ。あたしも同じだから」


20年間、抱え続けた憎しみ。


本当に辛かったろうし、本気で王やカメリアを憎んだろうし、復讐を誓ったろう。



それは事実だと思う。

でもオルマさんの中の真実は違うんだ。


オルマさんの真実は、アザレア姫への愛情だ。


間違いない。絶対に間違いない。


あたしが言うんだから、間違いないんだ。


「だから間違えないで、オルマさん」


ここで間違えてしまったら、取り返しがつかないんだよ。


世界も、あなたも。


「オルマ、キミが姫のことを本当に大切に思っているのはボクにも分かるよ」


「・・・・・・・・・・・・」


「だってボクも、姫を本当に愛しているから」


オルマさんは、あたしと王子の懸命に訴える言葉を黙って聞いていた。

そして・・・・・・


あざ笑った。


「・・・・・・愛?」