タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

そしてその日の夕刻から、あたしと白タヌキの結婚式が始まった。


メスのタヌキたちが、木の葉や色とりどりの花びらを拾い集めて、奴隷服にベタベタ~っと貼り付ける。


花嫁衣裳をつくってるつもりなのね、きっと。


そして仕掛けアミを噛みちぎって四角くした物を、頭に被せられた。


これはたぶん、花嫁のヴェールのつもり。


緑の葉っぱがついてる小枝を何本も束ねて、手に持たされた。


これはたぶんブーケのつもりなんだろうな。


準備万端、いざ、結婚式がスタートした。



厳粛な伝統の儀式とかが始まるのかと、ちょっと緊張してたんだけど。


ただ「めでたいなー、よかったなー」って、タヌキ総出でワイワイ喜んでるだけ。


変わったことと言えば、タヌキたちが突然、手足をグニャグニャ動かしたり頭をガクガク振ってたりしてる。


あれは、タヌキの神に捧げる神聖な祈りかな?


花嫁って基本なにもすることないのね。・・・ヒマ。


「どうだ? ミアン。満足しているか?」

「えっ!?」


突然白タヌキ少年に話しかけられて、慌てて背筋を伸ばす。


いけない。あたし、喜んでお嫁入りしてるって設定だったんだ。


さも、つまんなそーな顔してちゃマズイって。


「え、ええ。とても、その、素晴らしい結婚式ね」


「この結婚のために、仲間が危険を冒して人間の式を覗きに行った。その様子をソックリ再現してくれている」