「スエルツ王子、一緒に行こう。そのペンダント、王さまに渡さなきゃ」


「・・・・・・・・・・・・」


「そして守ろう。国を、世界を。・・・アザレア姫を」


「・・・・・・うん」


王子は袖でゴシゴシ涙を拭いた。


そして、しっかりとした顔つきでスクッと立ち上がる。


「行こう! 男爵夫人!」


あたし達は並んで進み始めた。


そうだ、この国を、そして大切な人を守らなきゃならないんだ。


さあ行こう!


足場が悪くて何度も転び、倒れながら進んでいく。


たくさんの遺体が埋まったり、転がっていた。


その凄惨さにひるむ自分の心を叱りつけ、進むあたし達の耳に何かが聞こえてくる。


「あれは・・・・・・?」

「歌声?」


耳慣れないメロディ。

子守唄、だろうか?


引き寄せられるように、あたし達は歌声が聞こえる方向へ進む。


そして、その先に見つけた。


ガレキに押しつぶされるように挟まる王。


そのかたわらに寄り添うように座り込み、歌い続けるオルマさんの姿を。


「オルマさん!」

「父上!」


オルマさんは、あたし達に気付いてゆっくりと振り返る。

そして・・・・・・


ニッコリと笑った。