タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

よし! そうと決まれば・・・・・・


「・・・ねぇ白タヌキ、そろそろこのアミをほどいてよ」


あたしはとびきりの笑顔と猫なで声で話しかけた。


「伝説の白タヌキ騎士のお嫁さんになれるなんて、とても光栄よ。うれしい」


おタヌキ王と少年が顔を見合わせる。


「ミアンよ、分かってくれたのであるか?」


「もちろんよ! タヌキの窮地を見過ごせないわ。頑張って一緒に乗り越えましょうね!」


「よくぞ言ったである!」


おタヌキ王の表情がみるみる嬉しそうになった。


ふ・・・チョロいわ、タヌキって。

お人よしでぽやや~んなところが、可愛いといえば可愛いけど。


タヌキの境遇は、聞けば本当に気の毒だとは思う。


でもこっちだってせっぱ詰ってるの。生きるか死ぬかの大勝負。


そもそも、こいつらだって自分たちが助かるために、あたしの人生を利用しようとしたんだもん。


それを利用し返すだけ。恨みに思われる筋合いはないし。


タヌキとあたしの化かし合いだ。この勝負、なにがあっても勝つよ!


白タヌキ少年が、あたしの体に絡まるアミを丁寧にほどき始めた。


あたしは警戒されないように、慎重におとなしくしている。


「ミアン。・・・ありがとうな」


自由になった身で見上げると、少年が美しい顔で穏やかに微笑んでいる。


「冷たい態度をとって、ごめん。謝る」


気恥ずかしそうな表情が、ほんのりと赤く染まった。

疑うことを知らないような、澄んだ瞳。


あたしの胸がズキリと痛んで、少し重くなった・・・。