「そう決意して、わたくしはあなたの元へと舞い戻ったのです。王よ・・・」


「おのれ! この毒婦めが! お前こそが醜い魔物だ!」


「ちょっと! なにその言いぐさは!」


よくもそんな事オルマさんに言えたもんだね!?


なんかもう、本気であんたのこと助けたくなくなってきたんだけど!


スエルツ王子の父親じゃなかったら、とっくに見捨ててるところよ!


「偉大な王の威厳も、一皮むけばこんなものですな。あぁお労しや父上」


「セルディオ、お前・・・・・・」


「ご自分で撒いた種でしょう。あなたが全ての判断を誤ったのです」


見下すような目で、セルディオは父親に向かって吐き捨てる。


「あなたが私を次期国王に選びさえしていれば、こんな事態にはならなかったのですよ」


眼つきがどんどん鋭さを帯びていく。


セルディオの端正な顔が、憎悪に満ちていく。


いかにも神職が似合う清廉だった姿が、悪しき感情に染まっていく。


「あなたは私を顧みなかった。二番目に生まれたという、それだけの理由で」


ヒクヒクと頬が痙攣し、口元が歪んだ。


「私の正当な権利さえ、勝手に奪い去った! そして『愚鈍な兄に仕えよ』とばかりに、こんな物を身に着けさせた!」


胸から下げた神職の最高位の証の金のペンダント。


それをセルディオは乱暴に引きちぎる。