タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

マスコール王国の地下にいるはずの、ノームのオジサンが飛び跳ねるように近づいて来る姿が見える。


「オジサン、どうしてここに?」


「まったく急いでんのに、タヌキは見っからねえし、血の匂いは漂ってるしで・・・」


オジサンが、放心しているあたしの顔を見て首を傾げる。


「どしたぁ? 泣いてんのかぁ?」


「・・・・・・・・・・・・」


「ねえちゃん、すんげえボロボロのぞうきんみたいな顔してっぞ?」


オジサンに事情を説明しようにも、話すことが多すぎて。


なにを、どう言えばいいものか分からない。


言葉をしゃべる気力も、精神力も、失せてしまった。


黙り込むあたしを不思議そうに見上げていたオジサンが、慌てて話し出す。


「いや待て! こっちの用件が先だぁよ!」


「用件って・・・?」


「無くなっちまったんだぁよ!」


「なにが・・・?」


「目ん玉だぁよ!」


「オジサンの?」


「おらのは、ふたつ揃ってここにあるだぁよ!」


ああ、そういえばそうだね。


なんだかもう、どこかの重要な糸がプツンと切れちゃったみたいで。


頭と心がうまく繋がらない。


「地竜の目ん玉が、無くなっちまったんだぁよ!」