タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

胸がいっぱいのあたしに、おタヌキ王は穏やかに語り続ける。


「だからわたしは、ミアンを守る。なんの理屈も必要ない」


「おタヌキ王・・・」


「行くであるよ。どうかわたしの、王としての尊厳を認めて欲しいのである」


「・・・・・・・・・・・・」


「どうか、頼む。ミアンよ・・・」


ひときわ美しい黄金の毛並み。


その凛々と放たれる輝きは、王としての気高さの証。


あたしは、何も言えなかった。


この気高い王に対して、返す言葉を持たなかった。


愚かなあたし。それでも、これだけは分かる。


あたしがここに留まり、捕えられてしまうことは・・・


彼の王としての誇りを、この足で踏みにじってしまうに等しい行為なのだと。


あたしは泣きながら両腕をおタヌキ王に伸ばす。


「うあぁぁぁ・・・・・・」


肺に残る全部の息が、泣き声となって出てくる。


両腕で、ぎゅっと彼を抱きしめた。


これが最後の抱擁になることは分かっていた。


美しい毛皮に顔をうずめ、ただ、涙を流す。


日なたのような優しい温かさ。力強い土の匂い。


これほどの、かけがえのない存在が消え去ろうとしているのに・・・。


あたしには、何もできない。

なんて無情な世界の輪。