――ゴオオォォォーーーーー!!


信じられないような勢いでトロッコは爆進する。


目に刺さるような火花の明かりが大量に散って飛んで行った。


うわあ!? うわわわーーー!!


トンネル内は、発光する大きな宝石が等間隔で飾られてあって、意外なほどに視界は良好。


しかも目が闇に慣れてきたから、周囲の状況が手に取るように確認できる。


滑らかなカーブが、右に左に、また右に・・・。


曲がるたびに車輪が軋み、火花が散る。


遠心力で吹き飛ばされそうになるたび、何度も悲鳴を上げた。


こ、怖いいいぃぃぃーーーー!!


いっそのこと真っ暗闇のほうが、なんにも見えないぶん良かったかもー!!


うおお!? 次のはけっこう急なカーブじゃないか!?


「きゃーーーーー!」


トロッコのスピードは緩む気配もなく、ガンッガン絶好調で飛ばしまくる。


あたしはブランの体を、押し潰しそうなくらい抱き締めた。


こ、これだけは・・・

たとえ自分の体が吹っ飛ぼうとも、これだけは死守するんだ!


絶対に放さないぞー!


「みんな、あれを見て!」


スエルツ王子が前方を見ながら大声で叫んだ。


見ると、天井から何かがたくさんブラ下がり、トンネルの上部を覆い尽くしている。


なんだろう? 黒いシャンデリア? じゃないよね?


大きな黒い繭? ミノムシみたいに丸まって・・・。