あたしの言葉に、オジサンが首を横に振った。


見ると他のノームたちが、離れた場所からこっちをオズオズと眺めている。


なんだかみんな怯えているようだった。


ノームたちにしてみれば、人間が現れた途端のこの大騒動だ。


もともと人間が地竜の目を盗んだことが発端だし。


あたしたちには、すぐにでもここから立ち去って欲しいのが本音だろう。


「おめえらのせいじゃねえよぉ。ただ、人間とおれらは交流がねえから」


「ごめんねオジサン。命を助けてもらったのにお礼もできなくて」


「いいだぁよ。おまえらのお蔭で、地竜を鎮められるんだからよぉ」


ヒゲもじゃの顔でオジサンは笑ってくれた。


あたしたちはオジサンと別れの握手を交わす。


「それで、これはどうやって動かすの?」


トロッコに乗り込んで、首を傾げた。


それらしい仕掛けも何もないようだけれど・・・。


「しっかりつかまってろぉ」

「・・・・・・え?」


オジサンがすごい形相になってハンマーを振り上げる。


「いっくぞおぉぉーーー!!」

「え? え?」


――ドッゴオォォーーン!!


どえええぇぇーーーーー!?


ノーム渾身の一撃がトロッコに加えられた。


殴られた勢いで、飛ぶようにトロッコが爆進する。


うっわあぁぁーーー!?


すさまじいスピードと風を受け、必死にブランを胸に抱きしめる。


あたしたちは恐怖に顔を歪ませながらトンネルの中に突っ込んでいった・・・。