タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

地竜がブランを飲みこもうと、ガバッと口を開けて食いついてきた。


金属のような牙が銀色に強く輝く。


でもブランは少しも臆さない。


すかさず巨大な足の陰に隠れて、剣で切り付け続けた。


「一応、地竜のヤツも手え抜いてやがるようだなぁ」


「手を抜いてる? あれが?」


「地竜が本気出したら、こんなもんじゃ済まねえよぉ。少しずつ頭が冷えてきてるようだなぁ」


敏捷に動いて逃げ回るブラン。


それを追って、ヒョコヒョコ地竜の頭が上下する。


どこか困惑してるようなその姿は、ちょっと滑稽に見えた。


確かに竜の頭にのぼった血が、少しずつ下がって冷静になってきているのかも。


小さなブランが、あんな巨大な竜を手玉に取っていいように扱っている。


すごいブラン! 頑張って!


自分に向かって接近した竜の頭のツノに、ブランはヒラリと飛び乗った。


そのまま一気にツノの上を駆け抜け、飛びかかるように竜の眉間に激しく切りかかる。


―― ・・・・・・!!


不思議な音響が広がり、地竜が目まいでも起こしたかのように頭部をフラリと揺らした。


・・・!! ・・・!!


繰り返される音響。


カゲロウに似た地竜の力が大量にゆらめいて、着実に剣に吸い込まれていく。


不思議なことに、その度にどんどん剣は輝きを増していった。


そして、ついにガクンと竜の足が崩れ・・・


ブワァッと巨体が前のめりに倒れるのを見て、あたしは青ざめた。


・・・倒れる! あの巨体が!


うわ!? 来る! 来る! これ絶対に来る!!