タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

ブランは飛びさすって転げながら、ギリギリ寸前に竜の足から逃れた。


そして素早く身を起こし、剣を大きく振りかぶる。


刃が煌めき、地竜の輝くウロコに覆われた足を思いきり切りつけた。


―― ・・・・・・!!


ただ、空気が揺れた。


硬いウロコと硬い剣がぶつかったんだから、大きな音が響くはずなのに。


音がしない。まったく。


地竜の足には、薄傷のひとつもついていない。


なのにブランが切りつけた途端、地竜の足がガクッと強くよろめいた。


続けざまにブランは剣を振りかぶり、繰り返し切りつける。


巨大な足に極小の針を突き刺しているかのような、無意味に思える行為。


でも切りつけられるたび、地竜の足は確実によろけている。


弱ってきている? ・・・どうして?


良く見ると剣を切りつけている部分から、なにかが・・・。


ユラリとした、カゲロウのようなものが滲みだしている。


それが・・・剣に向かって吸い寄せられている?


「ありゃあ、地竜の力だ」


「オジサンにもあれが見えるの?」


「おお。白タヌキが剣を使って、地竜を傷つけること無く力を吸い取ってるんだぁよ」


傷付けることなく攻撃して、力だけを吸い取る?


じゃあ本当に、そんなことが可能なのね!?


「あの剣と、あの白タヌキが揃って、初めてそれが可能になるんだぁよ!」