タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

感情が一気にあふれて泣きそうになる。


目に涙が盛り上がったけれど、唇を強く結んで耐えた。


「ミアン。あとで話そう。ふたりで」

「・・・・・・・・・・・・」

「オレ、お前に言わなきゃならないことがたくさんあるんだ」


・・・・・・・・・・・・。


泣き、そう・・・・・・。

だけど・・・・・・。


あたしは思いっきり顔をクシャクシャにして、泣くのを我慢した。


うん。今はだめ。泣いていられない。


泣くのは、あとだ。

あとで・・・・・・


あたしもブランに言いたいこと、言わなきゃならないこと全部、全部・・・。


そのときに思いっきり、声を出して泣くから。


顔クシャクシャなままでうなづくあたしを、ブランはもう一度優しく見つめる。


そして一変して引き締まった表情を地竜に向けた。


「まずはこいつをなんとかしないとな」


「白タヌキ、加減に気ぃつけろや! 間違ってもおめえ、やり過ぎんじゃねぇぞぉ!」


「分かってる。おれも地の精霊の一員だ」


地竜は身じろぎもせず、じぃっとブランを見つめている。


地竜には分かっているんだろう。


剣と、白騎士という、ふたつの類まれな特別な存在が。


大地の具現である竜の視線を、ブランは恐れることなく見返し不敵に笑う。


「さて。ここはおとなしくお引き取り願おうか」