タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

なんの変哲も飾りもない、シンプルな柄。


豪華な剣にありがちな、ブレード部分の掘り込み模様もない。


一見、拍子抜けするぐらい貧相な、ただの剣なのに・・・。


なんなの? この威圧感。


目が離せない。近寄りがたいほどのオーラを感じてしまう。


これまでに見たことのある、どんな立派な剣よりも威厳が漂っている。


すごい・・・この剣も、ノームの力も。


「さあこれで準備は整った! 次は白タヌキ! おめえの番だぞぉ!」

「・・・おお!」


オジサンの声にブランの声が重なる。


地竜の顔のあたりをヒラヒラ舞っていたブランが、サァッとこっちへ向かって素早く飛行してきた。


剣の上でボンッと破裂音がして、白い煙がブランの体を包み込む。


煙が霧散して、変化したブランの姿が明らかになっていく。


あたしは祈るような思いで、あらわになっていくブランの姿を凝視していた。


スエルツ王子やオルマさんが、ゴクリとノドを鳴らす音が聞こえる。


そしてついに、姿を現したのは・・・・・・


白銀に輝く鎧に身を包んだ、美貌の少年。


剣をしっかりと手に構え、地竜を見据える剣士の姿をしたブランだった。