タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

「心配すんなぁ! おらたちに任せろ!」


あたしの顔色を見たオジサンが、ドンっと自分の胸を叩いた。


「おめえらぁ、やるぞぉ!」

「おおーー! そーーれぇ!」


ノームたち全員が、息を合わせて大剣を放り投げる。


剣はズゥゥン! と大地を揺らし、地に落ちた。


振動が足元から頭まで、ビリビリと痺れて抜けていく。


剣はその重みで、土にめり込んでしまっていた。


「いくぞぉ! ノームの底力を見せてやるぞぉ!」


オジサンの掛け声に、ノームの一族が威勢よく応える。


みんな揃ってハンマーを取り出し、クルリと構えた。


そして全員が剣を覆い尽くすように群がって、一斉に剣を鍛え始めた。


――キィンキィン! ガンガンガン!


金属を叩きつける凄まじい音が、洞窟中に反響して空気をビリビリ震わせる。


「うわーっ!?」

思わず悲鳴を上げて両手で耳を押さえた。


ま、まるで音の力で耳の奥を殴られているみたい!


「よーし! 完成だぁ!」


オジサンの声に、ノームたちがパッと身を引いた。


見ると、剣が影も形もなくなってしまっている。・・・え!?


「け、剣は!? まさか砕いちゃったの!?」

「よーく見ろぉ。ほれ、そこだぁ」


オジサンの指先に視線を向けると、そこにはごく普通の長剣が一本、あった。