タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

竜とは、まさに、神の領域。


目の前にして、ただそれだけを思った。


巨体のわりには、意外なほど小さな竜の目。


その片側が、確かに空洞のようにポカリと穴が開いている。


そして残された目が、いまにも火を噴きそうなほど、真っ赤な怒りに燃えあがっていた。


あたしを射抜くように。


・・・終わりだ。あたしも、王子も、オジサンも。


そう納得するしかなかった。


あたしたちはそれを受け入れ、ただこの場に立ちすくむだけ。


それ以外に・・・・・・

なにができる?


こんなにもちっぽけなあたしたちが。


竜の巨大な手が、ブワリと浮いた。


あぁ・・・あれであたしたちを踏みつぶすつもりなんだろう。


隣のスエルツ王子が胸元のペンダントをギュッと握りしめる。


もう・・・どんな誓いも、想いも・・・叶わない。


あたしは目を閉じて、この世の最後に、静かに彼の名を呼ぶ。


呼んでも応えなど無いことを知っていても。


それでもあたしにとって、もっとも愛しい者の名を。


「・・・ブラン・・・」