どれくらい時間が経過したのか分からない。


どこからか、キンキンと鍛治を打つような音が聞こえる。


その音に誘われるようにあたしはゆっくりと目覚めた。


(ここ・・・どこ?)


ぼんやりしたまま首を動かして、辺りを確認する。


そこに広がる不思議な景観を認識するのに、しばらく時間がかかった。


黒い壁に見えるのは・・・むき出しの岩肌?


高い天井も床もゴツゴツした岩で覆われている。


あたしが倒れている場所は、ほの暗い洞窟だった。


薄暗いのに妙に明るさを感じるのは、あちこちに明かりが灯っているから。


岩壁のあちこちから突き出た、赤や、青、黄色、みどり、白の鉱石。


形や大きさもさまざまな鉱石が、日の光の届かぬ洞窟内を照らしていた。


洞窟内には小人たちが・・・ノームたちが大勢いる。


鍛冶作業する者や、荷台に山と積まれた石を運ぶ者。


男も、女も、子どもも、この薄暗い空間の中をガヤガヤと行き交っていた。


あぁ・・・そうか。そういえばあたし、上から落ちたんだっけ。


マスコール王国の地下に、ノームの住むこんな巨大空洞があったなんて。


――ジャラ・・・


起き上がろうとして、あたしは自分の全身が小石に覆われていることに気が付いた。


薄い薄い、透き通った紫色の、細かい破片のような宝石。