タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

・・・ブラン!?


走りかけた足を止めて、あたしは振り向いた。


船室でって、あたしを押し倒したこと?


な、なによそれ。なんでそんなこと、今ここで謝るの!?


やめて! まるでもう二度と会えないことを覚悟してるみたいに聞こえるじゃない!


あたしの目の前を、キメラは他には目もくれず一直線にブランを追って駆け抜ける。


ブランはキメラをあたしたちから引き離すように、素早く繁みの奥に消えていった。


「ブラン!」

思わず後を追いそうになる気持ちを、懸命に押しとどめる。


だめだ! あたしが行ったらブランの足手まといになる!


あたしにできることは、城に無事にたどりついてブランを待つこと!


待っているからね。

ブランのこと、あたし待っているからね!


だから絶対、来てよ! 大丈夫だって言ったんだから!


言ったんだからね・・・!!


両目をギュッと閉じて歯を食いしばる。


追いかけたくてたまらない心を抑えるために、大きく息を吸い込んで深呼吸した。


・・・・・・よし! 行くぞ!


あたしは繁みに背を向け、走り出す。


背後から聞こえてくるイナズマの音にビクリと体と心が震えた。


頭を強く左右に振る。大丈夫。ブランは絶対に大丈夫。


不安な思いを振り切るように、そうして城へ向かって走り続けた。