タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

馬の頭が高らかに天を仰ぎ、いなないた。


同時に耳を裂くような爆発音が鳴って、あたしは悲鳴を上げる。


目もくらむほどの眩しい閃光が周囲に走った。


すぐそばの高い木が縦真っ二つに割れて、ボッと燃え上がる。


「うわっ!?」「きゃっ!?」


二度、三度、続けて馬がいななくたびに激しい音と閃光が光った。


そのたびに次々と大木が裂かれ、草が真っ赤に燃える。


あたしは両耳を押さえながら口をポカンと開け、その様子を見渡す。


地を揺さぶるこの音、目に突き刺さるこの閃光。これは・・・


イナズマ!

この生き物、イナズマを呼び寄せているんだ!!


パチパチと炎の燃える音。立ち上る煙。植物の焼ける臭い。


視覚と聴覚と嗅覚が刺激され、ようやく頭が働き始める。


に・・・逃げた方が良くない!? もう、明らかに、その方が良くない!?


「みんな、バラバラに散って逃げるぞ」


あたしはハッとして隣のブランを見上げた。


バラバラって、ひとりで逃げろってこと? そんなの嫌だよ!


「固まっていると狙われる。散った方がいいんだ」


「嫌だ! ひとりなんて怖いよ!」


ブランはあたしの耳に唇を寄せ、小声でささやく。


「大丈夫だ。おそらくコイツは、オレのケモノの臭いに惹かれてオレを追ってくる」


そんな・・・! ブラン、自分がおとりになるつもり!?


だったらますますバラバラなんて嫌だ!


「王子やオルマに見られていると、変化魔法が使えない。オレはいいから逃げるんだ」