タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

「男爵夫人、私はこの探索隊に任命されたことを、とても幸運に思います」

「はぁ、そうですか」


あたしゃこの探索隊に任命されて、本気でムカついてますけどね。


人それぞれなんですねぇ。


「そのおかげで私は、あなたと巡り会えた」


「は・・・あ・・・?」


「あなたは素晴らしい女性だ」


どこが?

小首を傾げるあたしの手を、その見知らぬ兵士は強く握りしめる。


「あなたは、私の心を一瞬で奪ってしまった」


・・・・・・はい?


「あなたはひどいお方だ。私の心を奪っておきながら、もうすでに他の男のものだとは」


いやだから。

そんなもの奪った覚えも、かすめた記憶もありません。


「あなたは、責任をおとりになるべきだ。私の心を奪った罪の・・・」


いや、しらねーよ。そんな罪。


そう思いながらあたしはゲンナリと心の中で息を吐いた。


あー、なるほどね。そーゆーことか。


よくいるんだ。貴族の夫人に言い寄って愛人になりたがる男が。


家を継げない、次男坊とか三男坊に多くみられる傾向で。


夫人に面倒みてもらって贅沢しようって魂胆なんだよね。