タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

でもブランは完全に頭に血がのぼっているらしく、あたしの方を見ようともしない。


険しい顔で王子を睨みつけ、さらに掴みかかろうとする。


あたしはもう必死になってブランの腕にすがり付き、それを阻止しようとした。


「乱暴しないでって言ってるでしょ!!」


ブランに怒鳴りながら、あたしは王子の前に立ちふさがり、両腕を広げた。


「セルディオ王子には絶対に手を出さないで!!」


ブランはビクッと動きを止めた。


目を丸くして、身を挺して王子を庇うあたしの姿を見つめている。


あたしは本気で力一杯、ブランを睨み上げた。


(お願いだからブラン、このまま引いて!)


あたしの強張った真剣な顔と、ショックを受けたようなブランの顔。


お互いの視線が、真っ向からぶつかり合った。


「・・・・・・・・・・・・」


やがて・・・・・・。


ブランの目に、言いようのない、やるせないような感情が浮かぶ。


そしてあたしに、なにかを訴えようとして唇をわずかに動かしかけた。


だけど、ブランの唇はなにも伝えることなく閉じられて・・・


ふぃっと身を翻し、立ち去った。


あたしを・・・この場に残したままで・・・・・・。