タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

「せいぜい色仕掛けでもなんでもして、あの男を働かせることだ」


「・・・・・・・・・・・・」


「私の息のかかった者が、常にお前たちを監視していることを忘れるなよ」


目を逸らすこともできず、あたしと王子は至近距離でお互いを見つめ合う。


王子の吐く息が、冷徹な言葉と一緒にあたしの顔にかかってゾッとした。


言うなりになるしかない。そうしなければタヌキたちが・・・。


そしてブランが・・・・・・。


あたしは王子に、ギクシャクとうなづいてみせた。


王子が満足そうに再び冷たい微笑を浮かべた、そのとき・・・


「ミアン! そこでなにしてる!?」


ブラン!?


ギクッと振り向くと、怒りの表情のブランが足音も荒く近づいてくる。


ブランはあたしに目もくれず、王子に詰め寄った。


「オレの嫁に手を出すなと言ったはずだ!!」


そしてその襟首を引っつかみ、乱暴にグイッと持ち上げる。


あたしは血の気が引いた。


やめてブラン! 王子が怒って気を変えたりしたら、あなたの身が・・・!


「ブランやめて! この手を放して!」


思わずブランの手に縋り付き、力任せに王子から引き剥がした。


「乱暴なことをしないで! お願いだから!」