タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

この人、そんなにスエルツ王子に秘宝を見つけてあげたいのか。


それが国の平安のためにもなるからなんだろうけど。


兄思いで、国を思う、立派な王子だけど・・・・・・。


国王の姿が頭に浮かぶ。


幾多の国に戦争を仕掛け、強引に勝利し、支配してきた王さま。


歴史に残る偉大な王だと称えられている。


確かに領土は増えたし、国は豊かになったけど、あたしみたいな戦争孤児も増えるいっぽうだ。


その犠牲については、なんとも思っていない。


この人は、自分の父親にそっくりだ。


望みを叶えるための手段も、犠牲も、まったく躊躇しない。


「いいか? 男と逃げようなどと思うなよ? この私から逃げるなど不可能だからな」


王子がフッと冷たく笑った。


「お前が少しでも男にバラすような素振りをしたら、その時点でどうなるか分かっているな?」


あたしはゴクリとノドを鳴らした。