タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

王子はブランのことを当然、疑っている。


もしもブランまで捕まってしまったら・・・。


そして、変化魔法が切れてタヌキに戻る姿を見られてしまったら・・・。


とんでもないことになってしまう!


『ミアンは我らの仲間。元気で無事に帰ってこい』


そう言ってくれたおタヌキ王や、タヌキたちの笑顔が浮かんだ。


タヌキの秘密がバレたら、世界中を巻き込む大騒動になってしまう。


狩られるどころの話じゃすまない。どんな恐ろしい目にあわされるか想像もつかない。


もう下賜がどうこうなんてレベルの問題じゃない!


「彼は、関係ありません!」


あたしは涙の残る目で睨むように叫んだ。


そしてまたゲホゲホむせて、呼吸困難になる。


それでも懸命に叫び続けた。


「彼は・・・関係・・・ありま・・・!」


ノドを痛めたせいか、声が出ない。


何度も必死に首を横に振り、あたしは王子に訴える。


関係ない! ブランは関係ない!


だから・・・ブランに手を出さないで!


泣きながら無言で首を振り続けるあたしの姿を、王子は見下ろしている。


やがてスッと屈みこみ、あたしの耳に唇を寄せてささやいた。


「そんなに、あの男を守りたいか?」


あたしは、今度は思い切り首をたてに振った。