タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

あたしの手がピクピク痙攣し始めて、目の前がすぅっと暗くなってくる。


早く、腕を、外してえぇ・・・・・・。


もう、もう・・・ダメ・・・・・・。


「どうやらその様子では、嘘ではないらしいな」


不意にノドを押さえる力が消え去った。


あたしはノドに手をあて、その場に崩れ落ちてしまう。


「ガハッ! ゲホッゲホッ!」


息・・・! 空気! 空気ぃー!


全身を波打たせて、ものすごい勢いで息を吸ったり吐いたりを繰り返した。


心臓が今にも胸から飛び出しそうだ!


「・・・・・・・・・・・・」


無言の視線を感じ、ゼエゼエしながら上を向く。


無表情なセルディオ王子が、あたしの涙に濡れた顔をじっと見下ろしていた。


あたし・・・これからどうなるの・・・?


バカだんなに突き出されてしまうんだろうか。


それとも王族を欺いた罪で処刑に?


不安におびえるあたしを見ながら、王子の唇が動く。


「あの男は何者だ?」


「・・・・・・え?」


「男爵の身分を騙っているあの男の正体は? 奴隷にしては、ずいぶん見目の麗しい男だが」


あたしの胸がドクンと嫌な音をたてた。