タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

「タヌキ・・・金、の・・・」

「タヌキ? 金?」


突然、王子があたしの言葉に反応した。


・・・・・・はっ! し、しまった!


あたしは慌てて口をつぐんだ。


うっかり、うわごとでタヌキの秘密を口に出すところだった!


本当のことをしゃべったところで、誰も信じないだろうけれど。


でもだからといってバラすわけにはいかない!


あたしの慌てた様子を、王子は探るような目で見た。


「タヌキ山の金鉱のことか? あの山には豊富な金脈があるらしいと、噂には聞いていたが」


タ、タヌキ山の、金鉱? そんなものが?


・・・そうか。そんな土地だから、金の精霊であるタヌキが存在しているのか。


「そういえば最近、逃亡奴隷の届け出が出ていたな。十六歳の少女の・・・」


ブツブツと王子は独り言をつぶやき、考え続けている。


いっぽう、あたしはもう本当に死ぬ思いだ。


息・・・息が・・・息があぁ・・・!!


ちょ・・・王子! ねえ王子!


考え事をするんなら、この腕を外してからじっくり考えた方が効率いいと思う!


冗談抜きで、もう限界・・・!


「タヌキ山に逃げ込んだらしいと聞いていたが、そうか、お前が・・・」