タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

城に到着した時にはもう、出発の準備が万端、整っていた。


てっきり何日も時間がかかるものだと思っていたのに。


「兄上が急がせたのだ。戦争勃発並みの慌ただしさだったよ」


セルディオ王子が苦笑いをする。


いざという時のための城内の備蓄とかに、特別措置で手を出したらしい。


ほとんど非合法。横領事件スレスレ。


おかげでスエルツ王子の評判が、またまた下がってしまったらしくて。


セルディオ王子がため息をついていた。


この人も次から次と、気苦労が絶えないなぁ。


なんか、あたしと相通じるものを感じるよ。


・・・これってやっぱり、シンパシー?


「シーロッタ・ヌゥーキー男爵、お身体の具合はいかがかな?」


「・・・・・・・・・・・・」


「男爵の、我が国への忠義心に心から感謝する」


ブランは睨むようにして黙ったまま。


あたしはさり気なくブランの脇腹をヒジで突っついた。


「・・・自分の嫁を守りたい。あらゆる意味で」


ぶすぅっとした声で、意味深にひと言だけ。


そしてセルディオ王子が立ち去った後も、その方向を険悪な目で見ている。


「ブランったら、もうちょっと愛想良くしてよ」


「あいつは気に入らない。ミアンに手を・・・」


「だから出してないってば」


「シーロッタ・ヌゥーキー男爵夫人~! 待っていたよ!」