タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

馬車は滞りなく、タヌキ山へと向かって走る。


ほどなく到着し、まだ気絶しているブランを頭に乗っけて、あたしはタヌキたちの元へ戻った。


そして、首を長くして待っていたおタヌキ王に、事の顛末を説明する。


すぐにも問題解決を期待してたらしいタヌキたちは、話を聞いて少しばかり気落ちしてしまった。


「その、マスコール王国なる国は、ずいぶんと遠いのであるか?」


おタヌキ王が首を傾げながら聞いてきた。


「海を越えるらしいから、多少の日数はかかると思うよ」

「そうであるか・・・・・・」


おタヌキ王は心配そうな目であたしの頭の上を見た。


ぐでぇーっと脱力している、一族ご自慢の白騎士の姿を。


ブランってば、もうすっかりあたしの頭の上が定位置になっちゃってるわね。


首が鍛えられちゃって太くなっちゃうよ。


ほら、しっかりして。あんた伝説の騎士でしょ?


「大丈夫よ。たぶん長くても、ひと月ふた月ぐらいのもんでしょ?」


「それでも白騎士にとっては、大変な負担であるよ」


「その間はあたしがブランを守るから、心配しないで」


「ミ、ミア・・・、オレが、お前を、守・・・うぷっ」


「いーからしゃべんないで。頭の上でゲロ吐いたりしたら容赦しないからね」