タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

ヒョコヒョコ歩くブランを支えつつ、前庭へたどり着く。


タヌキ精鋭部隊の馬車にブランを押し込み、あたしも急いで乗り込んだ。


馬車が門から無事に出たことを確認して、座席に埋もれるようにして息を吐く。


ああ、すんごい疲れたーー!!

どっと疲労感ーー!!


「きっつー・・・。おぉ、効いたぁー・・・」


ブランが腰を撫でさすりながら、前かがみになって唸ってる。


「ミアン、お前、全然手加減しなかったろ」


「ご、ごめん。あ、そんなに痛かった?」


「大蛇と戦った時より、よっぽど身の危険を感じたぞ。お前、すげーよ・・・」


「だってあのままだったらブラン、捕まって処刑されてたかもしれないんだからね!」


「オレが気を失っている間に、何があったんだ?」


気を失ってたんじゃなくて、酔っぱらってたんでしょうが。


という文句はさておき、あたしはとにかく、これまでの怒涛の展開を簡単に説明した。


「つまり、スエルツ王子に同行しないと、下賜がもらえないのよ」


「やれやれ、これだから人間は・・・」


ブランがため息をついて首を振る。


「仕方ない。しばらくの間、山を離れて秘宝探索だな」


「ブランも一緒に行ってくれるの?」


「当然だ。オレは白騎士だぞ? それに、一族の為に働く自分の嫁を放っておけるもんか」


そのブランの言葉があたしの心の中に、とても複雑な感情を呼び起こした。