「では男爵夫人、これからの事を相談しなければ。アザレア姫、また後ほど」


あたしは姫に丁寧に挨拶して、王子と一緒に部屋を出た。


廊下を進む足取りも自然と軽やかになり、心の中で密かに気合いを入れまくる。


よしよーし、生きる希望が湧いてきたぁ!


神様はまだあたしを見捨てていない!


つまり基本的に、あたしは王子にくっついてさえいればいいわけでしょ?


楽勝よ! 旅路だってきっと大丈夫!


長年のミジメな奴隷生活や、タヌキ山での野宿経験があればヘッチャラだ!


再び巡ってきたこのチャンス、絶対、なにがなんでも手にしてみせる!


「ところで男爵夫人」

「はい!? なんでしょうかセルディオ王子さま!?」


なに!? もー遠慮しないで、なんでも言っちゃって!


「あなたを護衛する兵士だが、男爵家のお屋敷からは何人ほど同行させるおつもりかな?」

「え゛・・・・・・?」


だ、男爵家の、護衛兵・・・?

え、えぇーーっと・・・。


ない。そんなもん。だから当然だれも連れていけない。


でも貴族の夫人なら、自前の護衛兵ぐらい連れていって当然だよね。


どおしよおぉぉ~~・・・・・・。