タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

・・・夢を見ているようでした。


国の奴隷であるわたくしに、そんな言葉を言ってくださる方がいるなんて。


道具が必要なのではなく、わたくし自身が必要なのだと。


わずか数年ではなく、生涯の愛を捧げると。


一生を共に生きて欲しいと・・・。


わたくしの手を温かな両手で包み込み、微笑みを浮かべて。


毎日飽くことなく、スエルツ王子はそれこそ必死に、愛を囁いてくださいました。


嬉しかった・・・。


本当に嬉しかった。


やっとわたくしは手に入れられたのだと思いました。


『本当の結婚』を。


『真実の愛』を。


祖国にとってもこの婚姻は良縁。反対などあるはずもなく。


スエルツ王子の元へ嫁ぐよう言い渡された時、わたしはこれまでの人生で一番幸せでした。


『嫁げ』という命令を、まさかこれほど嬉しく聞く日がこようとは。


わたくしはうれし涙を流しながら、了承いたしました。


・・・信じていました。

スエルツ王子を、心から。


信じて、信じて、信じ切ってこの国へ来て・・・


わたくしは、真実を知ってしまったのです・・・。