タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

10歳で4度目の婚姻。


夫である国王は大変な高齢で、嫁いだ時から重い病に臥せていました。


5年、お飾りの王妃を務めて・・・。


夫が他界。わたくしはまた、帰国しました。


またいずれ、道具として祖国に利用されるために・・・。



「そんな・・・。そんなに、何度も政略結婚を?」


初めての結婚が6歳って、まだ半分赤ちゃんみたいなもんじゃないの。


これまでいったい何回結婚させられたの?


ひどいよ。それじゃお姫さまっていうよりも、まるで・・・。


「一国の姫に、人権や尊厳などありません。ただ従い、国の奴隷として生きるのです」


『奴隷』


その言葉が、ズクンとあたしの胸の奥深くを疼かせた。


姫の伏せられた目の奥の悲しみの色が、あたしには手に取るように理解できた。


「それから数年、わたくしは次の嫁ぎ先を待っていました。ちょうどそんな時に・・・」



スエルツ王子が、現れたのです。


王子は和平交渉の使者と共に、国王の名代として、我が国を訪問されていました。


そして滞在中、それは熱心に申し込まれたのです。


ぜひわたくしを、妻に迎えたいと。


『アザレア姫以外の姫など、考えられない』

『姫でなければ、意味がない』

『ボクの生涯の愛をアザレア姫に捧げます』

『ボクには姫が必要なんです。どうか、ボクと一生を共に生きて下さい』