タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

あたしは眉間にシワを寄せた。


アザレア姫があたしに会いたがっている?


当然だけど、あたしと姫に個人的な面識なんかない。


「人違いじゃありませんか?」

「いや、間違いない。姫はあなたをご指名だ」

「でも・・・」

「中年太りの貴族を、一撃でぶちのめした男爵夫人に用がある、との事だ」


あぁ、それなら間違いなくあたしだわ。


でも、何の用があるっていうんだろう。


腕を見込んで、護衛兵として雇いたいとか? まさかね。


あたしの表情に浮かぶ疑問に対し、セルディオ王子が答える。


「詳しい用件までは、ここでは話せない。これから一緒に姫の部屋まで来てほしい」


はあ・・・そうですか。


お姫さまの呼び出しに「嫌よ」なんて言えないし、行くしかない。


それに・・・いまのこの状況で、黙って倒れているよりはよほどマシだ。


なにかをしていないと、このまま奈落の底へ落ち込んでいってしまいそうで。


ノロノロと立ち上がったあたしを見て、王子は歩き出す。


カラッポな頭を抱え、その後を素直についていった。


本当に、頭も心もカラッポ。なにも感じない。


本来ならお姫様と個人的に謁見なんて、緊張しまくりで鼻血もんなのに。