タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

「本人が行きたいと言うのだから、行かせればよいのだ」


王様は素っ気なくそう答えた。


口調がトゲトゲしてる。やっぱり相当怒ってる。


セルディオ王子は顔を上げて、すがるように王様を見上げて言った。


「しかし父上、兄上のために・・・」


「自分の不始末は、やがて自分の身に返ってくる」


「・・・・・・・・・・・・」


「スエルツは、今回それを良く学ぶであろう。次期国王としてそれも必要だ」


そんな王様の言葉を聞いても、まだセルディオ王子は諦めきれない様子だ。


なおも食い下がり続ける。


「ですが・・・」


「くどい。兄をかばいだてするのは、よせ。スエルツ自身のためにならぬ」


「父上」


「余の決断に異存があると申すか? セルディオよ」


セルディオ王子は小さく息を吐いた。


あたしと、あたしの左右に立ってる衛兵は、思わずお互いの顔を見合わせる。


そして同時にセルディオ王子に、同情の視線を投げかけた。


気の毒に・・・。

家族間のゴタゴタって、ほんと、しちめんどくさいのよねぇ。


バカだんなの一家を見てきたから、良く分かる。


強烈な父親と、できの悪い兄に挟まれて。


継承権を放棄したうえに、そのうえまだ、兄のしでかした問題のあとしまつか。