タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」

バカだんなの体が、小気味良い音を立てて勢いよく床に倒れ込んだ。


白目を剥き、引っくり返った体はそのままピクリとも動かない。


室内は静まり返っている。


貴族たちは全員、唖然茫然。


王様も、王子も、姫も、目を丸くして身動きもできない。


全員が息をするのも忘れた様子で、この意外性に満ちた結末を見守っている。


ポカンと口を開いていた王子が、ハッと我に返った。


そしてようやく、音程のズレた声を張り上げる。


「し・・・勝者! シーロッタ・ヌゥーキー男爵夫人!!」


・・・っしゃあああーーーー!!


あたしはグイッと右腕を力強く天に向けて掲げた。


最っ高にサッッパリしたあぁぁーー!!


―― パチ・・・パチ・・・


しんとした室内に、小さな拍手が響いた。


―― パチパチ、パチ・・・


最初の音につられるように、拍手は室内のあちこちから響き始める。


やがて、我に返った貴族たち全員が歓喜して手を打ち鳴らし出した。


あっという間に怒涛の拍手と歓声の渦になる。


「お見事! シーロッタ・ヌゥーキー男爵夫人!」


「素晴らしい勝利ですわ!」


「あなたこそが下賜をたまわるに相応しい! 文句のつけようがない!」


王様が満足そうな顔で、貴族たちの声に何度もうなづいている。


あたしは、キョロキョロとその状況を見回した。