真っ白な世界で、
誰かの声が聞こえる事すら、

初めてだった。


『…リュウ君、僕を救い出してくれて、有り難う…』


あぁ…
ユピテル、なのか?

お前が氷の中で、俺に言ったんじゃないか。

「逃げる途中だった」と。
「急に冷気に閉じ込められてしまった」のだと。

俺はその言葉を単純に信じて行動に移しただけだ。


『えぇ、嘘じゃないですよ。何故、人柱だとか神の遣いなどと呼ばれているのか、僕には全く分からない…』


あぁ…、悪いな?
協会がそう信じていてなぁ?
そういう街なんだよ。

空に現れる、
輝く白い星に…
「神」が住んでいると信じているんだ。


『…あの星に?』

あぁ、あの星に…。

昔のこの星には、
そんな「おとぎ話」みたいな事を言う奴は居なかったんだろう?


『…そうですね…。あの星に神なんて、住んでいない…』


あぁ…、俺も同感だが。
…何故、そう言い切れる?


『……さぁ?…リュウ君、僕ね、行くべき場所があったんです。そこへ向かう途中、閉じ込められてしまった…』


へぇ…?
何処へ行こうとしてたんだ?