「じゃあ、俺が家族になってやるよ」



──は??

まさかプ、プ……プロポーズだとか言わないよね!?

恐ろしい急展開を想像してドギマギするあたしに、那央はいたって真面目な顔で話し続ける。



「縁は賑やかな家庭にちょっと憧れてるんだろ」



気持ちを読み取って、優しく確認するように言われ、あたしは曖昧に頷いた。



「たしかに、俺ら仲良いけどその分騒がしいし、周りにはうざがられてるだろうな。
でも、会ったら絶対あいつらも縁のこと気に入るし、縁も気に入ってくれると思うから。そしたらもう家族と思ってくれていいよ」



“家族になってやる”って、そういう意味か……! なんだ、びっくりした!

一瞬でも勘違いした自分が恥ずかしい……。


でも、これまであたしの事情を話すと、哀れんだり“大変だったね”と言う人がほとんどだったから、こんなことを言ってくる人は初めてで。

やっぱり那央って変わってるなと思いながらも、ちょっぴり嬉しかった。



「……ありがとう」

「おう。苦手なものは食わなきゃ苦手なままだからな」

「あはは、たしかに」

「でも、そういう事情があるなら無理には誘わないから」