「何で知ってるんですか……?」

「この間たまたま通った時に見かけたから。一生懸命ゴミ捨てやってるとこ」



えぇー! しかもゴミ捨ての場面!?

軍手して両手にでっかいゴミ袋持ってる、可愛らしさの欠片もないあの場面!?

なんか複雑……。でも気付いてもらえたことは嬉しい。



「何曜日にバイトしてるの?」

「あ……あんまり決まってはないですけど、土曜日は一日いることが多いです」

「そっか。今度牧野さんがいる時に行くね」



ニコッと素敵過ぎる笑顔を見せると、先輩は小さくバイバイをして颯爽と走り去っていった。


え……え……何、今の!

『牧野さんがいる時に行くね』って、あたしに会いに来てくれるってこと!?


今になって胸がドキドキし始め、思わずニヤけてしまう口元に手をあてる。



「なんか、すっごい距離が縮まったかのような会話になってたよね……!?」

「いや、全然普通でしょ」



あたしが振りまくピンク色の空気を、一気に無色にしてしまうような冷静な声が背後からこだました。

ヤバい……那央がいるってことをすっかり忘れてた。