大好物のアイスにも手を付けず目を伏せるあたしに、舞花は申し訳なさそうに眉を下げる。



「あ、ごめん……あんまりそういうこと考えたくないよね」

「……ううん、平気だよ! 会える時間はかなり少なくなるけど、別れるわけじゃないんだからさ」



「そうだよね」と微笑む舞花。

口ではこんなふうに明るく言えるけど、心の中は遠距離になることの不安で一杯だった。

“大丈夫”って自分に言い聞かせるけど、それにも限界がある。



でも、那央は最近そんな話題をまったく口にしない。

あえて避けているのかわからないけど、それがまたあたしを不安にさせるんだ。


もしかしたら、こんなに寂しがっているのはあたしだけで、那央は離れても案外平気なんじゃないかって。

“好き”って気持ちの重さが釣り合ってないんじゃないかって、疑ってしまう。


でもこんなこと、今試験のために頑張っている那央には言えない。

重荷にはなりたくないもん。

あたしだって、そんなことばっかり考えてないで、勉強しなくちゃ。