「縁、気にしちゃダメだからね!」

「はーい。気にしません」



手を上げて答えると、舞花は一つ息を吐いて苦笑する。



「そのサバサバしてる性格は羨ましいくらいだよ。でも何か困ったことがあったらちゃんと言ってよね?」

「うん、ありがと」



本当に、舞花がいると心強いよ。


そんな彼女も、最近ついに恋をし始めた。

相手は茶道部の、なんと一年生だ。

なんでも、文化祭で彼のセクシーな浴衣姿を見てときめいてしまい、それまでノーマークだった彼が急に素敵に見えてきたんだとか。

恋に落ちるとそんなもんなんだね。



「ねぇ縁、来月彼の誕生日なんだって! 何あげたらいいと思う~?」

「え、それをあたしに聞く?」



こんな調子で、今日も彼女は花を振りまいている。

那央と付き合い始めて、少しはあたしも恋愛がわかってきたものの、まだ舞花にアドバイス出来るほどじゃない。

でも舞花がこんなふうになるのは久々だし、うまくいってほしいな。