きっと真っ赤になってるだろう頬を片手で覆うあたしに、那央はクスッと笑いをこぼす。



「続きは二人きりの時にな」



くしゃっと頭を撫でられ、あたしは恥ずかしさで頷くことしか出来なかった。


いつの間にか那央の家の近くまで来ていて、彼はそっちの方へと歩いていく。

その先には、私服姿の華ちゃんと、手をつなぐ美雨ちゃんがいる。



「美雨の迎え行ってきたのか?」

「そ。今日の夕飯は美央特製のから揚げだって」

「お、いーねー」



そんなたわいない話をしながら、美雨ちゃんを抱き上げる那央は、なんだか若いパパみたい。

あたしを振り返ると、「気をつけて帰れよー」と、いつもの笑顔を見せる。

手を振り返すあたしを、華ちゃんはギロッと睨んで家の中へ入っていった。


はは……相変わらず怖い。

でも、あたしの胸はぽかぽかと温かかった。


誰かを好きになるって、こんなに幸せなことなんだ。

恋する喜びを、那央が教えてくれた。



「好き、だよ……」



噛みしめるように、初めて言葉にして呟いてみた。

どうか彼に届いてほしいと、想いを込めて──。